「9車立のレースなのに10名の選手が走ってるのはなぜ?」
「競輪の先頭誘導員ってなに?」
「先頭誘導員についてのルールが知りたい!」
という方に向けて、この記事では競輪の先頭誘導員についてまとめました。
先頭誘導員について知らないと、競輪のレースで何が起こっているのかを理解することができません。
一緒に勉強して、レースを楽しく観戦できるようになりましょう。
この記事の目次
競輪の先頭誘導員とは?
競輪の先頭誘導員とは、レースの途中まで先頭を走って、レースのペースメーカーになる係員のことです。
現在の競輪では、ガールズケイリンも含めて、全てのレースに先頭誘導員が付いています。
先頭誘導員は選手と似たようなユニフォームを着ているため、競輪のレースを初めて観戦する方は「選手が1名多い!?」と感じるかもしれませんね。
しかし、先頭誘導員はレースの途中で退避するので、最終的には9車立なら9名の選手が、7車立なら7名の選手が走っている状況になります。
先頭誘導員の役割は?
先頭誘導員の主な役割は、選手を風圧から守ることです。
競輪選手は生身でレースをしているため、先頭の選手は風圧の影響で体力を激しく消耗します。
そのため、もしも先頭誘導員がいなかったら、先頭の選手は圧倒的に不利なレースをしなければいけなくなります。
しかし、先頭誘導員がレースの途中まで先頭を走ることで、先頭の選手はレース終盤まで体力を温存できるようになるのです。
先頭誘導員のおかげで、どの選手も平等にレースができるようになっているわけですね。
また、先頭誘導員には、レースのペースメーカーになるという役割もあります。
もしも先頭誘導員がいなかったら、先頭の選手が好きなようにペース配分を決めることができます。
すると、極端に早いレース展開になったり、逆に極端に遅いレース展開になったりしてしまうでしょう。
そうなってしまうと、私たち車券購入者はレース展開の予想ができなくなってしまいます。
先頭誘導員のおかげで、レース展開が安定して、私たちは予想しやすくなっているわけですね。
先頭誘導員のレース中の動きは?
先頭誘導員のレース中の動きは、
- 選手のスタートと同時に、選手のスタート位置の25m前からスタートする
- 400バンクの場合、残り2周まで先頭を走る
- 審判室からの指示で、コースの内側に退避する
という流れになっています。
その後、自分が先頭誘導員を担当した次のレースが成立したら、手当(給料)をもらって競輪場から帰ります。
次のレースが成立するまで待っている理由は、次のレースが再発走になったときに、そのレースの先頭誘導員に代わって先頭誘導員をする可能性があるからです。
自分の仕事が終わっても、すぐに帰れるわけではないのですね。
出典:KEIRIN.JP
まず、先頭誘導員は、選手のスタートと同時に、選手のスタート位置の25m前からスタートします。
先頭誘導員ははじめから先頭にいるので、それぞれの選手が先頭誘導員の後ろに付くような流れになりますね。
このとき、先頭誘導員のすぐ後ろに付くことを「Sを取る」と言います。
Sを取った回数は出走表に書いてあるので、レース展開を予想するのに活かすことができます。
出典:KEIRIN.JP
次に、先頭誘導員は、レースの中盤まで選手たちの先頭を走ります。
競輪では、先頭誘導員を追い抜いてはいけないゾーンが決められていて、このゾーンで先頭誘導員を追い抜いた選手は失格になってしまいます。
追い抜き禁止ゾーンは、400バンクなら残り2周まで、333バンクなら残り2周半まで、500バンクなら残り1周半までとなっています。
競輪選手は、このゾーンでは先頭誘導員の後ろでポジション争いをしつつ、このゾーンを過ぎたら本気のぶつかり合いをするわけですね。
出典:KEIRIN.JP
最後に、先頭誘導員は、審判室からの指示でコースの内側に退避します。
審判室からの指示は、ヘルメットに付いているヘッドフォンで聞いているみたいですね。
退避のタイミングは「選手に追い越されたとき」や「先頭誘導員のレーサーの後輪と選手のレーサーの前輪が重なったとき」です。
先頭誘導員が退避した後は、選手同士の激しい戦いが繰り広げられます。
先頭誘導員の装備やユニフォームは?
先頭誘導員は、紺色にオレンジのラインが入ったユニフォームを着用します。
選手のユニフォームにはラインが入っていないので、初心者でも簡単に見分けることができますね。
さらに、選手は車番に関わらず黒色のズボンをはいていますが、先頭誘導員は紺色のズボンをはいていることも特徴的です。
また、ヘルメットには審判室からの指示を聞くためのヘッドフォンが付いています。
競輪の先頭誘導員を追い抜くときのルールは?
先頭誘導員を追い抜くときのルールには、
- 追い抜き禁止ゾーンで追い抜いてはいけない
- 危険行為や妨害行為をしてはいけない
の2つがあります。
また、これらのルールは2019年6月にルール改定がありました。
現在のルールについて解説した後に、ルールがどのように改定されたのかも簡単に解説していきます。
追い抜き禁止ゾーンで追い抜いてはいけない
競輪選手は、追い抜き禁止ゾーンで先頭誘導員を追い抜いてはいけません。
もしも、追い抜き禁止ゾーンで先頭誘導員を追い抜いてしまった場合、その選手は失格になってしまいます。
失格ゾーンは、400バンクなら残り2周まで、333バンクなら残り2周半まで、500バンクなら残り1周半までとなっています。
バンクの1周の長さによって、だいたい800m前後になるようにタイミングが調整されているわけですね。
危険行為や妨害行為をしてはいけない
競輪選手は、先頭誘導員に対して危険行為や妨害行為をしてはいけません。
危険行為や妨害行為は、外帯線内進入、押圧、斜行などのことを指します。
これらの行為を追い抜き禁止ゾーンで行った場合、その選手は失格になってしまいます。
追い抜き可能ゾーンに入るまでは、選手は大人しくしているのが良さそうですね。
2019年6月のルール改定について
出典:KEIRIN.JP
競輪では、先頭誘導員に関するルールが2019年5月31日に改定されました。
具体的な変更点を表にまとめたので、チェックしてみてください。
項目 | 2019年6月以前(過去) | 2019年6月以降(現在) |
---|---|---|
先頭誘導員の追い抜き禁止ゾーン | 400バンクは残り2周半 333バンクは残り3周 500バンクは残り2周半 |
400バンクは残り2周 333バンクは残り2周半 500バンクは残り1周半 |
先頭誘導員への危険行為や妨害行為 (追い抜き禁止ゾーン) |
重大走行注意 | 失格 |
まず、先頭誘導員の追い抜き禁止ゾーンが全てのバンクで長くなりました。
追い抜き禁止ゾーンが、改正前は約1000mだったのに対して、改正後は約1,200mになっています。
次に、先頭誘導員への危険行為や妨害行為に対する罰則が厳しくなりました。
これらの行為への罰則が、改正前は重大走行注意(イエローカード)だったのに対して、改正後は失格(レッドカード)になっています。
このルール改定によって、「実力通りの結果になりやすくなった」「前にいるラインが有利になった」と感じている方もいるみたいです。
早めの仕掛けなどの無理な戦略ができなくなったり、前のラインを外側からけん制しづらくなったりしたからですね。
とはいえ、この記事を書いている時点で、ルール改定から1年以上も経っています。
選手もこのルールに慣れてきているはずなので、予想するときにはあまり気にしなくてもいいでしょう。
【競輪の先頭誘導員】よくある質問
競輪の先頭誘導員についてのよくある質問をまとめました。
先頭誘導員は誰がやってるの?
先頭誘導員は、開催場の地元選手から、レースの出場日程などを考えてJKA各地区本部が選定します。
先頭誘導員をすると手当(給料)がもらえるので、賞金だけでは稼ぎが少ない選手が行うことが多いイメージです。
ただし、G1などのビッグレースでは、ファンサービスのためにS級選手が先頭誘導員をすることもあります。
先頭誘導員の名前は出走表に書いてあるので、良かったらチェックしてみてください。
先頭誘導員になるための資格は?
先頭誘導員になるための資格は、専用の試験に合格することで手に入ります。
合格条件は、2,000mを2分55秒以内に走ることです。
これは、かなり緩い基準タイムなので、競輪選手なら誰でも取得することができます。
先頭誘導員の手当(給料)は?
先頭誘導員は、1レースごとに手当(給料)をもらうことができます。
手当の金額は、グレードの高いレースになったり、決勝・準決勝になったりすると高額になります。
例えば、F2決勝の手当は5千円ですが、KEIRINグランプリの手当は20万円となっています。
【競輪の先頭誘導員】まとめ
競輪の先頭誘導員について、もう一度まとめると、
- レースの中盤までペースメーカーとして先頭を走る
- 役割は選手を風圧から守ること
- ユニフォームは紺色にオレンジのライン
- 選手はレース中盤までは先頭誘導員を追い抜けない
の4つがポイントです。
先頭誘導員は、競輪のレースをする上で必要不可欠な係員となっています。
レース展開を予想するときも、先頭誘導員を追い抜けないことなどを考えると、精度の高い予想ができるようになるでしょう。
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