「競輪の代謝ってなに?」
「実際に代謝になった選手はいるの?」
という方に向けて、この記事では競輪の代謝(代謝制度)についてまとめました。
代謝制度はガールズケイリンについて話題になることが多いので、この記事でも主に女子選手の代謝制度について説明しています。
競輪の用語を覚えて、もっと競輪を楽しめるようになりましょう。


競輪の代謝とは?
競輪の代謝とは、正式には「代謝制度」や「登録審査制度」と呼ばれる制度です。
制度の内容としては、成績下位の選手の登録を抹消して、強制的に引退させる制度となります。
強制的に引退させると聞くとひどい制度だと思う方もいるかもしれません。
しかし、私としては、選手の緊張感を保つためには必要なのではないかと考えています。

代謝制度がなかったら、選手は練習をサボって悪い成績が続いても、なんのペナルティもないことになります。
すると、レースに真剣さが失われてしまうのです。
競輪のレースはそれぞれの選手が真剣に走っているからこそ、面白いものになります。
代謝制度は、面白いレースを維持するためには必要不可欠な制度と言えるでしょう。

競輪の代謝制度の詳しい仕組みは?
競輪の代謝制度で、選手登録が抹消されるのは、
- 連続する2期の登録審査用得点がいずれも47点未満であること
- 1に該当した2つの期の登録審査用得点に、さらにその直後の期の登録審査用得点を加算して得た得点を3で除した点数が47点未満であること(3期目の登録審査用得点が47点以上であっても2の要件に該当する者は3の序列の対象)
- 2に該当する者のうち最下位から3番目に相当する選手の点数以下となること
の3つの要件を全て満たした選手と決められています。
公式の文章は硬くて分かりにくいですね。
簡単に言えば「半年に1回、3期連続で成績が悪かった選手のうち、下から3人が登録抹消の対象となる」ということです。

期は前期と後期の2期
まず、競輪選手の成績の審査期間は「1月~6月の前期」と「7月~12月の後期」の2期に分けられます。
例えば、この記事を書いている2019年9月26日は、競輪の審査期間としては2019年(令和元年)後期です。
代謝制度は審査期間ごとに適用されるので、半年に1回の頻度で登録抹消が行われるわけですね。
登録審査用得点=平均競走得点
次に、登録審査用得点とは平均競走得点のことで、平均競走得点は「(競走得点合計-事故得点合計)/審査対象回数」で計算される得点です。
競走得点は、グレードの高いレースに出場したり、上位着を獲ったりすることで、高い点数を手に入れることができます。
また、事故得点は、レース中に反則や違反行動をしたときに付けれられるペナルティの点数です。
つまり、登録審査用得点が47点未満の選手というのは、レースで活躍できていない選手や、事故をたくさん起こしてしまった選手ということになります。
成績下位3名が登録抹消
登録審査対象の選手が決まったら、その選手たちを3期平均の登録審査用得点で順番に並べ、成績下位の3名が登録抹消となります。
登録抹消の処分を受けた選手は、その期のうちに最後のレースをして、競輪選手を引退します。
最後のレースは、ある程度は選手の希望が通るようで、自分の思い入れのある競輪場でラストランをする選手もいますね。
ガールズケイリンの選手は約150名いるので、成績下位の3名というのは、全体の中では成績下位の約2%に相当します。
代謝制度は、むやみに選手を引退させる制度というわけではないんですね。


競輪の代謝制度を具体例を挙げて解説
代謝制度の仕組みについて、具体例を挙げて解説していきます。
例えば、選手A~選手Gの7人の選手の期ごとの登録審査用得点が下の表のようになっていたとしましょう。
2018年前期 | 2018年後期 | 2019年前期 | 3期平均 | |
---|---|---|---|---|
選手A | 45.0 | 45.0 | 45.0 | 45.0 |
選手B | 45.0 | 45.0 | 46.0 | 45.3 |
選手C | 45.0 | 46.0 | 46.0 | 45.7 |
選手D | 46.0 | 46.0 | 46.0 | 46.0 |
選手E | 46.0 | 46.0 | 48.0 | 46.7 |
選手F | 46.0 | 46.0 | 50.0 | 47.3 |
選手G | 46.0 | 48.0 | 46.0 | 関係なし |
この7人の選手のうち、2019年前期の登録審査対象となるのは、選手A~選手Eの5名です。
選手A~選手Dは、3期連続で登録審査用得点が47点未満なので、明らかに登録審査の対象となります。
選手Eは、3期目は47点以上ありますが、2期連続で47点未満かつ、3期平均が47点未満なので、登録審査の対象です。
逆に、選手Fは、2期連続で47点未満ですが、3期平均が47点以上なので、登録審査対象外となります。
最後に、選手Gは、2期連続で47点未満になっている期間がないので、登録審査対象外です。

次に、登録審査対象の選手A~選手Eの3期平均の登録審査用得点を比べます。
すると、低い順番に選手A、選手B、選手Cとなるので、この3名の選手が2019年前期の登録抹消の対象となります。
選手A~選手Cは、2019年前期のうちに最後のレースをして、競輪選手を引退します。

選手Dは、2期連続で47点未満の状況が続いているので、2019年後期の成績次第では再び登録審査対象になってしまう可能性があります。
選手Eは、2019年前期に48.0点を取っているので、しばらくは登録審査対象になることはありません。
競輪選手を長く続けるためには、ある程度は好成績を残し続けないといけないわけですね。


競輪の代謝の2019年のボーダーの点数は?
競輪の代謝制度の対象になるかどうかは、他の選手との競い合いになるので、はっきりとしたボーダーの点数は決まっていません。
ただ、過去の傾向を見てみると、3期平均の登録審査用得点が46点以上あれば登録抹消にはならないように感じます。
逆に、46点未満の選手は強制的に引退となってしまう可能性が高いです。
ガールズケイリンの出走表を見たときに、競走得点が44点台~45点台の選手は、引退を賭けた勝負駆けの可能性がありますね。


競輪の代謝で引退になった有名選手は?
最近、ガールズケイリンの選手で代謝で引退した選手と言えば、
- 「森美紀」選手
- 「山本レナ」選手
の2名が有名ですね。
「森美紀」選手は、ガールズケイリンの1期生で「森ママ」の愛称で愛されていた選手です。
2012年にガールズケイリンが復活して以来、8年間走り続けましたが、2019年6月3日に引退となりました。
また、「山本レナ」選手は、2017年にガールズケイリンのPRポスターの5代目ビジュアルキャラクターに任命された選手です。
ファン投票でも人気があったのですが、2018年7月17日に引退してしまいました。

このように、人気があっても成績が振るわないと登録抹消となってしまうのが競輪選手の世界です。
レースの面白さを維持するためとはいえ、少し寂しい気もしますね。
私としては、厳しい世界で生きている競輪選手に、もっと応援したいという気持ちになりました。

競輪の代謝は男子選手にもある?
ここまでは、女子選手の代謝制度について説明してきましたが、男子選手にも代謝制度はあります。
制度の仕組みは同じなので、具体的な違いだけを表にまとめました。
登録審査対象になる得点 | 登録抹消になる人数 | |
---|---|---|
女子 | 47点未満 | 半年で3名 |
男子 | 70点未満 | 半年で30名 |
男子選手は約2,200名いるので、成績下位の30名というのは、全体の中では成績下位の1.4%に相当します。
本当に成績の悪い選手だけが、代謝制度の対象となるんですね。


競輪の代謝のおさらい
競輪の代謝について、もう一度まとめると、
- 半年に1回、成績下位の選手が登録抹消される制度
- 男子選手は半年で30名、女子選手は半年で3名が登録抹消になる
- 登録審査対象選手は、引退を賭けて勝負駆けをすることがある
の3つがポイントです。
競輪のニュースを見ていると、ときどき「〇〇選手が引退を賭けたレース」みたいな文章を見かけます。
そういう選手は思わぬ力を発揮することもあるので、注目してみてもいいかもしれませんね。


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