この記事では、競輪のS級S班について、
「S級S班ってなに?」
「どうやったらなれるの?」
「2022年のS級S班は誰?」
といった疑問に回答していきます。
競輪のS級S班とは、全選手のなかで9名だけがなれる最高峰の級班です。
前年の競輪グランプリ出場者がS級S班に所属するため、1年ごとに更新されることになります。
S級S班の選手には、G1・G2に優先的に出場できるなど、特別な特典もありますね。
ここからは、S級S班の基礎知識と選手を紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。


競輪のS級S班とは?
競輪のS級S班とは、全選手のなかで9名だけがなれる最高峰の級班です。
前年の競輪グランプリ出場者がS級S班に所属するため、1年ごとに更新されることになります。
また、S級S班になると、S級1班以下にはない特別な特典を受け取れますね。
ここからは、S級S班の基礎知識として、以下の5つを初心者向けに解説していきます。
S級S班の基礎知識
- 9名だけがなれる級班
- 競輪グランプリ出場者が所属
- 1年ごとに更新される
- 年収は5,000万円以上
- 3つの特典をもらえる

9名だけがなれる級班
出典:KEIRIN.JP
競輪のS級S班は、全選手のなかで9名だけがなれる最高峰の級班です。
級班とは、選手を競走成績をもとに班分けしたもので、下の表の6つがあります。
級班 | 所属人数 |
---|---|
S級S班 | 9名 |
S級1班 | 212名 |
S級2班 | 459名 |
A級1班 | 507名 |
A級2班 | 538名 |
A級3班 | 446名 |
調査日は2022年3月2日
ガールズケイリンのL級は除く
上の表から、競輪の男子選手は2,171名いることがわかりますね。
S級S班の選手はそのうちの9名なので、上位0.41%の選手ということになります。
このことからも、S級S班の選手が最上位の選手ということがわかるでしょう。

競輪グランプリ出場者が所属
競輪のS級S班には、前年の競輪グランプリに出場した選手が所属します。
競輪グランプリは、例年12月30日に開催される賞金1億円を賭けたレースです。
最も高い格付けのレースであり、一発勝負で優勝者が決まります。
また、主な出場選手は、G1優勝者と獲得賞金ランキング上位者ですね。
このことから、G1優勝者は、翌年のS級S班になれると考えることもできます。

1年ごとに更新される
出典:KEIRIN.JP
競輪のS級S班は、12月28日から次の年の12月26日までの約1年間に適用されます。
これは、競輪グランプリが例年12月28日から開催されるからですね。
また、S級1班以下の級班は、基本的には選手の競走成績をもとに半年ごとに更新されます。
そのため、S級1班以下の選手は、競走成績が級班に反映されやすいわけです。
一方、S級S班の選手は、競走成績がどれだけ悪くても1年間はS級S班に所属できます。
不調でも出走表にはS級S班と書かれるので、予想するときは競走得点などを確認しましょう。

年収は5,000万円以上
出典:KEIRIN.JP
S級S班の選手の年収は、年によって変わりますが、基本的には5,000万円以上です。
これは、前年の獲得賞金ランキング上位者がS級S班になるからですね。
また、G1は優勝賞金が高いので、G1優勝者は自然と獲得賞金ランキング上位者になります。
例えば、2022年は、獲得賞金が最も少ない「宿口陽一」選手でも約6,700万円も稼いでいました。
逆に、獲得賞金が最も多い「古性優作」選手は、2億円以上も稼いでいましたね。
このことから、S級S班と言っても、選手の活躍ごとに年収は違うことがわかるでしょう。

3つの特典をもらえる
出典:KEIRIN.JP
S級S班の選手には、S級1班以下にはない特別な特典が与えられます。
具体的に、特典の内容は、
- G1・G2に優先出場できる
- S級レース出場時にシード出場できる
- 専用ユニフォームの着用できる
の3つが挙げられますね。
まず、S級S班の選手は、G1・G2の出場条件を無視して、優先的に出場できます。
優先出場したG1を優勝すれば、翌年もS級S班を維持できますね。
次に、S級S班の選手は、S級レース出場時に特別選抜予選にシード出場できます。
初日の予選をパスできるので、準決勝や決勝に出場しやすくなりますね。
最後に、S級S班の選手は、赤い生地に黒ラインの専用ユニフォームを着用できます。
レース中でも一目でS級S班だと判断できるので、競輪ファンに覚えてもらいやすいですね。

競輪のS級S班になる条件は?
競輪のS級S班には、前年の競輪グランプリに出場した選手が所属します。
逆に言えば、競輪グランプリに出場することが、S級S班になる条件とも言えますね。
競輪グランプリは、例年12月30日に開催される賞金1億円を賭けたレースです。
9名しか出場できないレースであり、出場条件はかなり厳しくなっています。
ここからは、競輪グランプリの出場条件として、以下の3つを解説していきますね。
S級S班になる条件
- G1を優勝する
- 獲得賞金上位者になる
- 選考委員会に認められる

G1を優勝する
競輪グランプリに出場する条件の1つ目は、その年のG1を優勝することです。
G1は競輪グランプリを除いた競輪界最高格付けのレースで、1年間に6回しか開催されません。
競輪のG1のレース名と開催日程をまとめたので、確認してみましょう。
開催名 | 開催時期 | 読み方 |
---|---|---|
読売新聞社杯 全日本選抜競輪 | 2月中旬 | よみうりしんぶんしゃはい ぜんにほんせんばつけいりん |
日本選手権競輪 | 4月下旬 | にほんせんしゅけんけいりん |
高松宮記念杯競輪 | 6月中旬 | たかまつのみやきねんはいけいりん |
オールスター競輪 | 8月中旬 | おーるすたーけいりん |
寛仁親王牌 世界選手権記念トーナメント | 10月中旬 | ともひとしんのうはい せかいせんしゅけんきねんとーなめんと |
朝日新聞社杯 競輪祭 | 11月下旬 | あさひしんぶんしゃはい けいりんさい |
G1に出場するためには、レースごとに厳しい出場条件を満たさなければいけません。
例えば、全日本選抜競輪には、都道府県ごとの競走得点上位者が出場します。
出場選手のレベルも他のレースより高いため、優勝するのはかなり難しいと言えるでしょう。
そのG1優勝者であれば、最高峰の級班であるS級S班になれるのも納得できますね。

獲得賞金上位者になる
競輪グランプリに出場する条件の2つ目は、獲得賞金上位者になることです。
G1が1年間に6開催だけなので、この条件で出場できるのは基本的には3名になります。
複数のG1を同じ選手が優勝した場合は、この条件の出場者が4名以上になることもありますね。
獲得賞金のボーダーは毎年変わりますが、例年5,000~8,000万円になることが多いです。
これだけ稼いでいれば超一流選手と言えるので、S級S班になれるもの納得できるでしょう。

選考委員会に認められる
競輪グランプリに出場する条件の3つ目は、選考委員会に認められることです。
具体的には、オリンピックや世界選手権で活躍した選手が選ばれることが多いですね。
例えば、2008年に「永井清史」選手が北京オリンピックで銅メダルをとって出場しています。
ただし、この条件で出場する選手は、これまでの37開催で5名しかいませんでした。
珍しい出場条件なので、基本的にはG1優勝か獲得賞金で決まると考えていいでしょう。

2022年のS級S班の選手は?
2022年のS級S班の選手は、2021年の競輪グランプリに出場した選手になります。
つまり、2021年のG1優勝者と獲得賞金上位者が、2022年のS級S班になるとも言えますね。
また、2022年の競輪グランプリは、2022年12月28日から平塚競輪場で開催されます。
そのため、2022年のS級S班の選手は、2021年12月28日から2022年12月26日までS級S班です。
ここからは、2022年のS級S班の選手として、以下の9名を紹介していきます。
2022年のS級S班
- 「松浦悠士」選手
- 「郡司浩平」選手
- 「平原康多」選手
- 「古性優作」選手
- 「佐藤慎太郎」選手
- 「守澤太志」選手
- 「吉田拓矢」選手
- 「宿口陽一」選手
- 「清水裕友」選手

「松浦悠士」選手
出典:KEIRIN.JP
松浦悠士(まつうらゆうじ)選手は、日本選手権競輪を優勝して、3年連続でS級S班になりました。
中国地区の広島県の選手で、脚質は両、決まり手は捲りや差しが多いです。
同じ地区の「清水裕友」選手とは、ゴールデンコンビと呼ばれるほど相性の良いラインですね。
実際に、2021年の日本選手権競輪でも、清水選手の番手から差して優勝を決めています。
この2名はラインの前後が変わることが多く、番手のほうが活躍しやすいことを覚えておきましょう。

「郡司浩平」選手
出典:KEIRIN.JP
郡司浩平(ぐんじこうへい)選手は、全日本選抜競輪を優勝して、3年連続でS級S班になりました。
南関東地区の神奈川県の選手で、脚質は逃、決まり手は捲りや差しが多いです。
同じ地区には元ナショナルチームの「深谷知広」選手がいるため、ラインを組めれば強力ですね。
実際に、2021年の全日本選抜競輪では、深谷選手の番手から二段駆けで優勝を決めています。
2020年の競輪祭も二段駆けで優勝したので、郡司選手が番手のときは1着を買ってみてください。

「平原康多」選手
出典:KEIRIN.JP
平原康多(ひらはらこうた)選手は、寛仁親王牌を優勝して、9年連続でS級S班になりました。
関東地区の埼玉県の選手で、脚質は両、決まり手は捲りや差しが多いです。
2022年のS級S班のなかでは、S級S班になった回数が最も多く、通算12回目のS級S班ですね。
多彩な戦法が魅力で、2021年の寛仁親王牌では「吉田拓矢」選手の番手から差しを決めています。
吉田選手も2022年のS級S班の選手なので、2022年のレースでの連携に注目しておきましょう。

「古性優作」選手
出典:KEIRIN.JP
古性優作(こしょうゆうさく)選手は、オールスター競輪を優勝して、初めてS級S班になりました。
近畿地区の大阪府の選手で、脚質は両、決まり手は捲りやマークが多いです。
2021年の競輪グランプリは単騎でしたが、関東ラインの4番手から上手く捲りを決めました。
さらに、2022年の全日本選抜競輪も優勝して、いち早く2022年の競輪グランプリ出場を決めています。
これまでは目立った活躍の少ない選手でしたが、現在は最も調子が良い選手と言えるでしょう。

「佐藤慎太郎」選手
出典:KEIRIN.JP
佐藤慎太郎(さとうしんたろう)選手は、獲得賞金7位で、3年連続でS級S班になりました。
北日本地区の福島県の選手で、脚質は追、決まり手は差しやマークが多いです。
2021年はG1・G2での優勝はありませんでしたが、安定した走りで賞金を積み重ねましたね。
また、佐藤選手は現在45歳であり、2022年のS級S班のなかでは最年長になります。
netkeirinでコラムを執筆しているので、佐藤選手について知りたい方は読んでみてください。

「守澤太志」選手
出典:KEIRIN.JP
守澤太志(もりさわふとし)選手は、獲得賞金8位で、2連連続でS級S班になりました。
北日本地区の秋田県の選手で、脚質は両、決まり手はマークが多いです。
2020年の競輪グランプリに獲得賞金9位で出場して、2021年は初めてのS級S班でした。
G1・G2優勝なしでの2連続S級S班は、安定した走りができている証拠でしょう。
2019年以前はF1・F2での活躍が多かったですが、2020年以降はG3以上でも活躍していますね。

「吉田拓矢」選手
出典:KEIRIN.JP
吉田拓矢(よしだたくや)選手は、競輪祭を優勝して、初めてS級S班になりました。
関東地区の茨城県の選手で、脚質は逃、決まり手は逃げや捲りが多いです。
2021年の競輪祭は単騎でしたが、レース中盤で良い位置をとって差しを決めましたね。
また、吉田選手は現在26歳であり、2022年のS級S班のなかでは最年少になります。
2015年にデビューしたばかりの若手選手なので、今後の活躍にも期待したいところです。

「宿口陽一」選手
出典:KEIRIN.JP
宿口陽一(やどぐちよういち)選手は、高松宮記念杯を優勝して、初めてS級S班になりました。
関東地区の埼玉県の選手で、脚質は両、決まり手は差しやマークが多いです。
同じくS級S班の「平原康多」選手とは同じ府県であり、練習仲間でもあるみたいですね。
実際に、2021年の競輪グランプリでは「吉田-宿口-平原」の関東ラインで優勝を目指しました。
レース結果は平原選手が2着、宿口選手と吉田選手が着外でしたが、今後の連携にも注目です。

「清水裕友」選手
出典:KEIRIN.JP
清水裕友(しみずひろと)選手は、獲得賞金6位で、4年連続でS級S班になりました。
中国地区の山口県の選手で、脚質は逃、決まり手は捲りが多いです。
先ほども解説しましたが、広島県の松浦選手とはゴールデンコンビと呼ばれていますね。
ラインの前後はレースごとに変わりますが、後ろのほうが活躍しやすいイメージです。
実際に、2021年のG2ウィナーズカップでは、清水選手が番手から差して優勝を決めました。

歴代のS級S班の選手は?
競輪のS級S班は2008年から制度化されて、2012年以降に現在のかたちになりました。
当初はS級S班が18名いたのですが、2012年以降は現在の9名に変わっています。
S級S班は1年ごとに変わるので、現在の制度になってからは11回更新されていますね。
この11回のうち、S級S班になった回数が多い選手のトップ5をまとめてみました。
S級S班になった回数ランキング
- 「平原康多」選手(9回)
- 「浅井康太」選手(8回)
- 「村上義弘」選手(7回)
- 「武田豊樹」選手(7回)
- 「新田祐大」選手(7回)
この5名のうち、2022年もS級S班になったのは「平原康多」選手だけです。
また、平原選手は、現在の制度になってから、S級S班の回数が最も多い選手でもあります。
平原選手は競輪グランプリにも9回出場していますが、いまだに優勝していません。
とはいえ、強い選手というのは間違いないので、優勝するところをいつかは見たいですね。

S級S班の選手【2021年】
選手名 | 登録地 | 出場要件事項 |
---|---|---|
郡司浩平 | 神奈川 | 競輪祭を優勝 |
脇本雄太 | 福井 | 高松宮記念杯と寛仁親王牌を優勝 |
松浦悠士 | 広島 | オールスター競輪を優勝 |
和田健太郎 | 千葉 | 獲得賞金7位 |
清水裕友 | 山口 | 全日本選抜競輪を優勝 |
守澤太志 | 秋田 | 獲得賞金9位 |
平原康多 | 埼玉 | 獲得賞金4位 |
新田祐大 | 福島 | 獲得賞金8位 |
佐藤慎太郎 | 福島 | 獲得賞金6位 |
敬称略
S級S班の選手【2020年】
選手名 | 登録地 | 出場要件事項 |
---|---|---|
中川誠一郎 | 熊本 | 全日本選抜競輪と高松宮記念杯を優勝 |
松浦悠士 | 広島 | 競輪祭を優勝 |
脇本雄太 | 福井 | 日本選手権競輪を優勝 |
佐藤慎太郎 | 福島 | 獲得賞金5位 |
清水裕友 | 山口 | 獲得賞金3位 |
郡司浩平 | 神奈川 | 獲得賞金8位 |
新田祐大 | 福島 | オールスター競輪を優勝 |
平原康多 | 埼玉 | 獲得賞金7位 |
村上博幸 | 京都 | 寛仁親王牌を優勝 |
敬称略
S級S班の選手【2019年】
選手名 | 登録地 | 出場要件事項 |
---|---|---|
三谷竜生 | 奈良 | 日本選手権競輪と高松宮記念杯を優勝 |
浅井康太 | 三重 | 競輪祭を優勝 |
脇本雄太 | 福井 | オールスター競輪と寛仁親王牌を優勝 |
新田祐大 | 福島 | 全日本選抜競輪を優勝 |
村上博幸 | 京都 | 獲得賞金6位 |
清水裕友 | 山口 | 獲得賞金8位 |
平原康多 | 埼玉 | 獲得賞金4位 |
武田豊樹 | 茨城 | 獲得賞金7位 |
村上義弘 | 京都 | 獲得賞金5位 |
敬称略

競輪のS級S班のまとめ
競輪のS級S班についておさらいすると、
- 9名だけが所属する最高峰の級班
- G1優勝者と獲得賞金上位者が所属
- 競輪グランプリごとに更新される
- G1・G2に優先的に出場できる
- 歴代最多は「平原康多」選手の9回
の5つがポイントです。
S級S班の選手は、その年の競輪を引っ張っていく選手と言っても過言ではありません。
G1・G2に出場することも多いので、ビッグレースしか買わない方でも見ることが多いでしょう。
それぞれの選手の得意な戦法を覚えて、レースの予想に役立ててみてください。


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