「競輪の決まり手ってなに?」
「出走表に書いてある逃・捲・差・マの意味を知りたい!」
「決まり手を使って的中率を上げたい!」
という方に向けて、この記事では決まり手の意味や4つの決まり手の違いを説明していきます。
決まり手について知っていると、車券を買うときの1着、2着の組み合わせを決めるヒントになります。
また、選手の得意戦法が分かるので、レース展開の予想にも役立ちますよ。
一緒に勉強して、競輪勝ち組を目指しましょう。
競輪の決まり手とは?
競輪の決まり手とは、レースの1着と2着を獲った選手が、どのような戦法でその着順を獲ったのかを表した言葉です。
特に、1着や2着を獲った選手が「残り1周でどのような戦法をとったのか」に注目して決められています。
例えば、最後の直線で前の選手を追い抜いて1着を獲ったときの決まり手は「差し」と言います。
競輪のレースは、序盤~中盤はライン戦と呼ばれるチーム戦、終盤は各選手がラストスパートをかける個人戦になります。
ライン戦はライン同士で有利なポジションをとるために競い合っているだけなので、直接的に着順が決まることはありません。
序盤~中盤で先頭を走っている選手が、そのまま1着になるとは限らないわけですね。
そのため、決まり手は残り1周に注目して決定されるのです。
競輪の決まり手は全部で4種類
競輪の決まり手には、
- 逃げ
- 捲り(まくり)
- 差し
- マーク
の4種類があり、全てのレースの1着と2着には、この4種類の決まり手のどれかが付けられます。
例えば、函館競輪場の8月22日の第6レースのレース結果を見てみましょう。
上のイラストから、このレースでは、9番車「佐伯辰哉」選手が「捲り」で1着を獲り、2番車「内藤敦」選手が「マーク」で2着を獲ったことが分かります。
「捲り」は、残り1周の時点で前を走っているラインの選手を、後ろを走っているラインの先行選手が外側から追い抜く決まり手です。
つまり、このレースは、9番車「佐伯辰哉」選手が最終周回でスピードを上げて先頭に立ち、そのまま抜かれずに1着を獲ったレースということになります。
それでは、4つの決まり手の意味を見ていきましょう。
逃げはひたすら体力勝負
逃げは、残り1周の時点で先頭にいるラインの先行選手が、後ろの選手に抜かされずに、そのまま1着や2着を獲ったときの決まり手です。
出走表には「逃」と書かれていて、脚質が「逃」「両」の選手に多い決まり手となっています。
残り1周を先頭を走り続けなければいけないため、他の選手よりも風の抵抗を受けやすく、最後までトップスピードを維持する体力が必要になってきます。
そのため、体力のある若手選手が決めやすい決まり手です。
また、後ろのライン同士が潰し合ってくれたときに、楽に決まることもあります。
捲り(まくり)は残り半周で勝負
捲り(まくり)は、残り1周の時点で真ん中~後ろを走っているラインの先行選手が、残り半周あたりで前にいる選手を抜いて1着や2着を獲ったときの決まり手です。
出走表には「捲」と書かれていて、脚質が「逃」「両」の選手に多い決まり手となっています。
逃げと比べて途中までは脚を温存できるので、体力的には少し楽になります。
しかし、抜きを仕掛けるタイミングが難しかったり、他のラインからの邪魔が入ったりするので、逃げよりも判断力が必要です。
最悪の場合、後ろの2ラインが捲りを仕掛けようとして潰し合ってしまって、先頭の選手の逃げを許してしまうこともあります。
差しは最後の直線で勝負
差しは、ラインの番手や三番手の選手が、最後の直線で自分のラインの先行選手を抜いて1着や2着を獲ったときの決まり手です。
出走表には「差」と書かれていて、脚質が「追」「両」の選手に多い決まり手となっています。
逃げや差しと比べて、最後の最後まで体力を温存できるので、体力的に不利なベテラン選手でも決めやすい決まり手です。
差しで1着を獲るためには、基本的には自分のラインの先行選手が先頭を走っていなければいけません。
こればかりは番手選手の力だけではどうしようもないので、先行選手にある程度の実力がないと決まらない決まり手となります。
マークは差しが決まらなかったとき
マークは、ラインの番手や三番手の選手が、自分のラインの先行選手を抜けずに2着を獲ったときの決まり手です。
出走表には「マ」と書かれていて、脚質が「追」「両」の選手に多い決まり手となっています。
最後の直線で差しが決まらなかったときの決まり手というわけですね。
マークは2着専用の決まり手なので、1着の決まり手にマークがつくことはありません。
4種類の決まり手のまとめ
4種類の決まり手の説明が終わったところで、もう一度おさらいしておきましょう。
決まり手ごとの「出走表の表記」「ラインのどの位置の選手が決めやすいか」「どの脚質の選手が決めやすいか」「簡単な説明」をまとめました。
決まり手 | 出走表 | ライン | 脚質 | 簡単な説明 |
---|---|---|---|---|
逃げ | 逃 | 先行 | 逃、両 | 残り1周を逃げ切る |
捲り(まくり) | 捲 | 先行 | 逃、両 | 最後の半周で抜く |
差し | 差 | 番手、三番手 | 追、両 | 最後の直線で抜く |
マーク | マ | 番手、三番手 | 追、両 | 差しが失敗したとき |
これで、4種類の決まり手の意味や違いは分かってもらえたかと思います。
競輪の決まり手の出やすさは?
決まり手には、出やすい決まり手と出にくい決まり手があります。
下の表に、「1着における割合」「2着における割合」をまとめました。
「どの決まり手がどのくらいの割合で出るのか」をチェックしてみてください。
決まり手 | 1着の割合 | 2着の割合 |
---|---|---|
逃げ | 20% | 17% |
捲り(まくり) | 25% | 15% |
差し | 55% | 30% |
マーク | 0% | 38% |
※数値は概算
上の表の1着の割合から、競輪のレース全体のうち、半分以上のレースは差しで決まることが分かります。
また、捲りは逃げよりも少しだけ出やすいです。
1着の決まり手ごとに、2着の決まり手の出やすさを表にまとめました。
1着の決まり手 | 2着が逃げ | 2着が捲り | 2着が差し | 2着がマーク |
---|---|---|---|---|
逃げ | 0% | 5% | 30% | 65% |
捲り | 5% | 10% | 25% | 60% |
差し | 20% | 25% | 35% | 20% |
※144レースを集計
※数値は概算
上の表から、1着の決まり手ごとの、最も出やすい2着の決まり手は、
- 1着が逃げ→2着はマーク
- 1着が捲り→2着はマーク
- 1着が差し→2着も差し
となっていることが分かります。
1着の決まり手が逃げや捲りのときに、2着の決まり手にマークが出やすいのは想像しやすいですね。
これは、1着を獲った先行選手と同じラインの番手や三番手の選手が2着に入ることが多いということです。
逆に、1着の決まり手が差しのときは、2着の決まり手が分散しています。
最も決まりやすいのは、番手や三番手の選手が同じラインの先行選手を最後の直線で抜いたパターンで、「差し-逃げ」と「差し-捲り」の合計45%になります。
2番目に決まりやすいのは、違うラインの番手選手が1着、2着を獲るパターンで、「差し-差し」の35%です。
そして、最も決まりにくいのは、同じラインの番手選手が1着、三番手の選手が2着となるパターンで、「差し-マーク」の20%となります。
このことを知っていると、車券を買うときに役立ちます。
例えば、「1番車が逃げ(または捲り)で1着を獲りそう」と予想したときは、2着の第一候補は同じラインの番手選手で、第二候補は他ラインの番手選手になります。
逆に、「2番車が差しで1着を獲りそう」と予想したときは、2着は手広く買わないと的中が難しいです。
決まり手の出やすさを使って、車券の的中率を上げていきましょう。
競輪の決まり手を予想に活かすには?
決まり手をうまく使えば、
- 選手の得意戦法を予想する
- レース展開を予想する
の2つのことができます。
1つずつ説明していくので、参考にしてみてください。
選手の得意戦法を予想する
出走表には、選手ごとの直近4ヵ月の決まり手が載っています。
そして、私たち競輪ファンは、出走表の決まり手から選手ごとの得意戦法を予想することができるのです。
実際に出走表を見てみましょう。
※函館競輪場の8月22日の第6レース
上の出走表の、8番車「會澤龍」選手と9番車「佐伯辰哉」選手を比べてみましょう。
どちらも脚質は「逃」なので、ラインの先頭を走る先行選手であることが分かります。
しかし、決まり手には、
- 「會澤龍」選手
→「逃げ」が4回、「捲り」が8回 - 「佐伯辰哉」選手
→「逃げ」が11回、「捲り」が4回
という違いがあります。
このことから、「會澤龍」選手は、残り1周の時点で先頭にいることは少ないけど、最後の1周で追い上げるタイプの選手ということが分かります。
逆に、「佐伯辰哉」選手は、残り1周の時点から先頭を走っていて、最後まで逃げ切る体力のある選手ということが分かります。
レース展開を予想する
レース展開とは、「どの選手が残り1周の時点で先頭を走っているか」とか「どのラインが残り半周で仕掛けるか」といったことです。
もう一度、先ほどの出走表を例に出します。
※函館競輪場の8月22日の第6レース
このレースは、ラインが「83/4/175/92/6」の細切れ戦でした。
先行選手である8番車、4番車、1番車、9番車、6番車の逃げと捲りの数を比べると、
- 逃げが捲りより多い
→4番車、9番車 - 捲りが逃げより多い
→8番車、1番車、6番車
となっています。
このことから、残り1周の時点で先頭にいそうなのは4番車か9番車だと予想できます。
そして、8番車、1番車、6番車が残り半周あたりで勝負を仕掛けていくレース展開となるでしょう。
競走得点の高さから、レースの主導権を握るのは9番車になりそうですね。
次に、9番車の後ろについている2番車の決まり手を見てみると、差しが5回、マークが5回となっています。
差して1着を獲ることと、差しに失敗して2着になることが同じくらい起こるということが分かります。
差しが多ければ番手選手を1着に、マークが多ければ先行選手を1着にすることができたのですが、2番車については判断が難しそうです。
最終的な買い目は、二車単なら「9-2」か「2-9」になりそうですね。
レースの結果は「9-2」で、二車単は1番人気の「3.1倍」でした。
レース展開としては、4番車が残り1周時点で先頭だったのですが、9番車が最後の1周で捲って1着になるというものでした。
2番車はうまくラストスパートをかけれずに、9番車についていってマークの2着となりました。
このように、決まり手を他の数値と合わせることで、レース展開を予想することができます。
全てのレースが的中するというわけにはいきませんが、的中率が上がることは間違いなしです。
ぜひ活用してみてください。
競輪の決まり手の競輪場(バンク)ごとの特徴は?
競輪場のバンク(選手が走るコースのこと)は、1周の長さの違いによって、3種類に分類されます。
具体的なバンクの種類と、簡単な特徴を下の表にまとめました。
種類 | 1周の長さ | 周回数 | みなし直線 |
---|---|---|---|
333バンク | 333m | 6周 | 短い |
400バンク | 400m | 5周 | 普通 |
500バンク | 500m | 4周 | 長い |
上の表の「みなし直線」とは、4コーナーの立ち上がりからゴールまでの直線のことです。
みなし直線は、333バンクでは短く、500バンクでは長いことが分かります。
みなし直線には、4コーナーの終わりの「ほぼ直線として見ることができる部分」の長さも含まれているからです。
選手にとって、直線と感じる部分がみなし直線というわけですね。
みなし直線の長さによって、出やすい決まり手・出にくい決まり手の傾向が分かれます。
具体的には、
- 333バンクは逃げが決まりやすい
- 400バンクは平均的
- 500バンクは差しが決まりやすい
といった感じです。
1つ1つ見ていきましょう。
333バンクは逃げが決まりやすい
333バンクでは、逃げや捲りが決まりやすいという傾向があります。
これは、みなし直線が短いので番手選手の差しが届かないことが多く、先行選手が逃げやすいからです。
333バンクでは、先行選手を中心に予想するのが良いでしょう。
333バンクの競輪場
防府、松戸、小田原、伊東温泉、奈良、前橋(335m)、富山
400バンクは平均的
400バンクは、平均的なバンクの長さなので、全国平均と同じような決まり手の出やすさになります。
全国42カ所の競輪場のうち、31カ所が400バンクなので、最も一般的なバンクとも言えるでしょう。
400バンクでは、先行選手にも番手選手にもチャンスがあると思って予想しましょう。
400バンクの競輪場
函館、青森、いわき平、取手、西武園、京王閣、立川、川崎、平塚、静岡、名古屋、岐阜、大垣、豊橋、松坂、四日市、福井、向井町、和歌山、岸和田、玉野、広島、高松、観音寺、小松島、小倉、久留米、武蔵、佐世保、別府
500バンクは差しが決まりやすい
500バンクは、差しが決まりやすいという傾向があります。
これは、みなし直線の距離が長いので先行選手が息切れしてしまい、番手選手がラストスパートで追い抜きやすいからです。
500バンクでは、番手や三番手の選手を中心に予想するのが良いでしょう。
500バンクの競輪場
宇都宮、大宮、千葉、高知、松山、熊本
決まり手のおさらい
競輪の決まり手について、もう一度まとめると、
- 決まり手は逃げ・捲り・差し・マークの4種類
- 1着の出やすさは、差し>捲り>逃げ
- 1着が逃げだと、2着はマークが多い
- 1着が差しだと、2着の決まり手は分散する
- 決まり手からは、選手の特徴やレース展開が分かる
- 333バンクでは逃げと捲りが決まりやすい
- 500バンクでは差しが決まりやすい
の7つです。
ここまで読んだあなたは、決まり手についての理解がかなり深まっているはずです。
さっそく、明日からの予想に活かしてみてください。
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