「競輪のラインとか並びってなに?」
「ラインはどうして組まれるの?」
「ラインを加味した予想方法も教えて!」
という方に向けて、この記事では、競輪のラインについてどこよりも分かりやすく解説していきます。
すごく簡単にいうと、ラインとは、レース中に一時的に組まれるチームのようなものです。
競輪の初心者にとって、最初に難しいと感じるのが「ライン」だと言われています。
一見して、ズルや八百長のように思うかもしれませんが、そうではありません。
競輪では、ラインというチーム戦で中盤に有利なポジションをとるからこそ、ラストスパートで1着を狙いやすくなるんです。
この記事は、ラインの意味や役割を、もっとくわしく初心者にも分かりやすいようにまとめていますね。
この記事の目次
【競輪のラインとは?】まずは意味を知ろう!
「ライン」とは、選手がレース中に一時的に2~4人で組むチームのようなものです。
9車立てのレースなら、3人ライン3つに分かれたり、3人ライン1つと2人ライン3つに分かれたりします。
競輪のレースでは、中盤までは、ライン同士が有利なポジションをキープするために戦い、終盤になると、ライン内の選手同士が1着を獲るために全力を尽くすのです。
ラインはなぜ組まれるのか?
ラインという制度を初めて聞いた方は、「どうしてチームを組む必要があるの?」と疑問に思うかもしれません。
競輪でラインが組まれる理由は、ズバリ空気抵抗です。
競輪のレース中、選手は時速60~70kmで走っているので、先頭選手はかなりの空気抵抗を受けます。
先頭から2番目の選手は、風を受ける先頭選手に比べて60%以上も体力を温存できると言われています。
ライン内の選手ごとの役割
順番 | 呼び方 | 脚質 | 戦略 | 戦略の詳細 |
---|---|---|---|---|
1人目 | 自力 | 逃 | 先行/捲り(自力) | 番手選手を空気抵抗から守る。 |
2人目 | 番手 | 追 | 追込み(他力) | 自力選手を後方の選手から守る。 |
3人目 | 三番手 | 追 | 追込み(他力) | 自力選手を後方の選手から守る。 |
3人でラインを組んだケースを想定して、先頭選手、2番目の選手、3番目の選手のそれぞれの役割を表にまとめました。
この表を見てもわかるように、ライン内の先頭選手は「自力タイプ」と呼ばれていて、自力で風の抵抗を受けながら走っていきます。
1番前を走るラインの先頭選手がそのままトップでゴールしたら「逃げ」で勝ったことになり、後ろのラインの先頭選手が前のラインの選手たちを追い抜いてゴールしたら「捲り(捲り)」で勝ったことになります。
また、ライン内で2番目や3番目を走る選手は、「追込みタイプ」と呼ばれていて、自ラインの先頭選手を別ラインの選手から守るように走ります。
中盤戦では左右にあえて揺れながら走ったりして敵選手が後ろから追い抜きづらいようにし、ラストスパートでは自ラインの先頭選手を抜き去って1位を狙います。
ライン(並び)の見方
競輪では、ラインがどのように組まれるかを「並び」と呼びます。
上の画像は、競輪場のオッズを表示するモニターで、赤四角で囲っている部分が次のレースのライン(並び)です。
モニターを見ると、この久留米6レースでは「1-6」「3-7-4」「8-5」「9-2」の4つのラインが組まれることが分かりますね。
このように、競輪場でモニターを見れば、次のレースのラインを確認することができます。
競輪のラインの組み方とレースの種類
競輪のラインは2~4人で組まれますが、具体的にはどうやってラインの振り分けが決まるのでしょうか?
また、3つのラインが組まれるレースと、4つのラインが組まれるレースでは、何が違うのでしょうか?
ここからは、そういった「ラインの豆知識」をさらに書いていきますね。
ラインはどうやって組まれるの?
ラインはチームなので、選手同士がお互いの脚質や得意な戦略を知っているほうが組みやすいです。
そのため、ラインは、
- 同じ競輪場で練習してるか
- 同じ県に選手登録しているか
- 同じ地区に選手登録しているか
- 隣接地区に選手登録しているか
など、選手同士の練習場所の近さを考えて組まれます。
この1〜4は上から順に重視されてラインが組まれるのですが、実際のレースでは、同じ競輪場や同じ県の選手が同じレースに出走することはあまりありません。
地区について、さらに詳しく解説していきます。
ラインの地区は9種類
競輪の「地区」とは、私たちが日常会話で使っている「東北地区」「関東地方」という言葉のイメージとは少し違います。
競輪のラインにおける地区を表にまとめたので、こちらを見ていきましょう。
地区 | 都道府県 |
---|---|
北日本ライン | 北海道、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島 |
関東ライン | 茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、新潟、山梨、長野 |
南関東ライン | 千葉、神奈川、静岡 |
中部ライン | 富山、石川、岐阜、愛知、三重 |
近畿ライン | 福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 |
中国ライン | 鳥取、島根、岡山、広島、山口 |
四国ライン | 徳島、香川、愛媛、高知 |
九州ライン | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
北海道と東北が同じ地区になっていたり、関東が2つに分かれていたりしますね。
また、長野県と新潟県が関東に入っていたり、静岡県が南関東に入っていたり、福井県が近畿に入っているのも意外かもしれません。
レースを見る時に「選手同士の練習場所が近いと実力や特徴もお互いに知っているので、ラインが組まれやすい」ということを覚えておきましょう。
レースの種類はライン数で決まる!
競輪の通常のレースは9車で行われ、ライン数によって「先行1車」「二分戦」「三分戦」「四分戦」と呼ばれます。
レースの種類を多いパターンから順に書くと、
- 三分戦
ラインA「先-追-追」
ラインB「先-追-追」
ラインC「先-追-追」 - 四分戦
ラインA「先-追-追」
ラインB「先-追」
ラインC「先-追」
ラインD「先-追」 - 二分戦
ラインA「先-追-追-追-追」
ラインB「先-追-追-追」 - 先行1車
「先」
「追-追-追-追-追-追-追-追」
となります。「先」と書いてるのは先行のことで、「追」と書いてるのは追込みのことです。
一番上に書いた「三分戦」がもっとも多いパターンなので、三分戦がレース予想の基本になります。
次に多いのがラインが4つ組まれる「四分戦」で、短いラインが多くなるので「細切れ戦」と呼ばれたりもします。
ラインが禁止されているレース
競輪では、通常の9車立のレースのほかに「チャレンジレース」「ミッドナイト競輪」「ガールズケイリン」などの7車立のレースがあります。
簡単に説明すると、
- チャレンジレース
→新人戦 - ミッドナイト競輪
→深夜帯のレース - ガールズケイリン
→女子選手のみのレース
という感じですね。
ガールズケイリンでは、あからさまにラインを組むことが禁止されています。
また、ミッドナイト競輪やチャレンジレースでは、ラインを組むことはできますが、7車立なので9車立のときとは傾向が変わります。
具体的には、「先-追-追」「先-追」「先-追」の三分戦や、「先-追-追」「先-追」「先」「先」の四分戦が多いですね。
そこに慣れてから他のレースも楽しんだほうが、勝ちやすいですよ。
ライン(並び)の読み方と予想方法
上でも書いたように、ラインの並びはレース直前にモニターに表示されるので、それを見れば確認することができます。
ただ、慣れてきたらモニターを見なくても、出走表からラインの並びを予想することができるんですね。
例えば、明日買おうと思ってるレースを予想するときには、レース直前のモニター表示がまだない状態なので自力でラインを予想する必要があります。
誰と誰がラインを組むのかは「府県」「選手のコメント」を、レース中のライン同士の位置関係は「決まり手」「B・H」をチェックすれば分かります。
【ライン予想のポイント1】選手の府県を見る
ライン予想ではじめに見るのは、出走表の選手の基本情報に書かれている「府県」です。
先ほども解説した通り、ラインは同じ県や同じ地区の選手同士で組まれます。
府県にはその選手が住んでいる都道府県が書かれているので、これを見ればおおまかなライン予想ができます。
上の画像では、
- 1番車(神奈川):南関東ライン
- 2番車(青森) :北日本ライン
- 3番車(和歌山):近畿ライン
- 4番車(栃木) :関東ライン
- 5番車(千葉) :南関東ライン
- 6番車(青森) :北日本ライン
- 7番車(茨城) :関東ライン
- 8番車(山口) :中国ライン
- 9番車(宮城) :北日本ライン
となっているので、「2番車と6番車と9番車」「1番車と5番車」「4番車と7番車」がラインを組みそうなことが分かります。
【ライン予想のポイント2】選手コメントを見る
ライン予想で2番目に見るのは、出走表の「選手コメント」です。
選手コメントには、レースの前日に行われたインタビューのコメントが載っています。
「先行」「自力」とコメントしている選手はラインの先頭に、「番手」「後位」「マーク」とコメントしている選手はラインの2番目や3番目になりたいということです。
上の画像では、
- 1番車(山下):田口君の番手へ
- 2番車(千澤):保科君マークだ
- 3番車(小出):先行基本にいく
- 4番車(福田):平石さんの後位へ
- 5番車(藤田):山下君の後位へ
- 6番車(木村):千沢君の後位へ
- 7番車(平石):小出君の番手へ
- 8番車(田口):自力勝負ですね
- 9番車(保科):自力でいきます
となっていますね。
ここまでの情報を整理すると、「8-1-5」「9-2-6」「3-7-4」の3つのラインができそうなことが分かります。
【ライン予想のポイント3】決まり手を見る
ライン予想で3番目に見るのが、出走表の「決まり手」です。
ラインの先頭の選手の「逃げ」と「捲り」の回数を見ることで、ラスト1周に入った時のライン同士の位置関係を予想することができます。
「逃げ」が多い選手はラスト1周に入ったタイミングで前方にいることが多く、「捲り」が多い選手はこのタイミングで中団~後方の位置にいルことが多いです。
上の画像では、
- 3番車:「逃げ」7回、「捲り」1回
- 8番車:「逃げ」2回、「捲り」2回
- 9番車:「逃げ」0回、「捲り」3回
となっているので、ラスト1周に入ったタイミングで、ライン同士の位置関係が前から順に「3-7-4」「8-1-5」「9-2-6」となることが予想できます。
競輪の基礎知識
【逃げとは】
最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手が、そのまま抜かれずに1着か2着になったときの決まり手
【捲りとは】
最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手を、最終4コーナーまでに抜いて1着か2着になったときの決まり手
【ライン予想のポイント4】BとHも見る
ライン予想で4番目に見るのが、出走表の「B」と「H」です。
ラインの先頭の選手の「B」と「H」の回数を見ることで、最終周回でのライン同士の位置関係を予想することができます。
Bが多くてHが少ない選手は残り半周で捲りを仕掛けやすく、Bが少なくてHが多い選手は先行して逃げを狙いやすいです。
上の画像では、
- 3番車:「B」15回、「H」15回
- 8番車:「B」 5回、「H」3回
- 9番車:「B」 2回、「H」2回
となっているので、「残り1周~残り半周のあたりで8番車が捲りを仕掛ける」ことが予想できます。
競輪の基礎知識
【B(バック回数)とは】
直近4ヵ月で、残り半周時点でバックストレッチラインを通過した回数
【H(ホーム回数)とは】
直近4ヵ月で、残り1周時点でホームストレッチラインを通過した回数
ライン予想はできなくても大丈夫
自分でライン予想をするのが難しいときは、レースの数時間前から公開されている競輪投票サイトのライン予想を見るようにしましょう。
この画像では、このレースのラインは「9-2-6」「8-1-5」「3-7-4」と予想されていることが分かります。
また、レース直前なら、競輪場のモニターに表示されるライン予想を見れば、確実にライン情報を確認することができます。
慣れてきたら自力でも予想できますが、慣れないうちは必ずサイトやモニターで確認するようにしましょう。
競輪のラインのよくある質問
ここからは、ラインについてのよくある質問に答えていきます。
競輪のラインは八百長なの?
ラインは、選手同士のチーム戦ではありますが、八百長(誰かを勝たせようと仕組んでおかしなレースをすること)ではありません。
ときどき、ラインの番手選手が後ろの選手をブロックしている様子を見て、「八百長だ!」と勘違いしてしまう人もいるみたいです。
しかし、ラインはそれぞれの選手が1着をとるための中盤戦略であって、レース終盤では各選手が1着を目指して本気で競い合います。
ラインの裏切りってなに?
ラインの裏切りとは、自分のラインから離れて、敵のラインについていくことです。
裏切りをよくする選手は同じ地区内でも嫌われるので、ラインを組んでくれなくなり、長い目で見れば結果を残しにくくなります。
なので、よっぽど変わった選手じゃない限り、裏切りはおきないものとしてレースを予想するようにしましょう。
ライン内で賞金の山分けがあるって本当?
ライン内で賞金の山分けはありません。
ただし、1着を獲った選手が、同じレースを走った選手に飲み物を奢ったり、タイヤチューブなどの差し入れをすることはあるようです。
レース終盤はお互いに1着を目指す個人戦ですが、レース外では同郷の仲間意識もあるということですね。
【競輪のライン】まとめ
競輪のラインについて、もう一度まとめると、
- 競輪はラインを軸にレース展開を考える
- 出走表の情報を整理したらライン予想や終盤の展開予想もできる
- でも慣れないうちは、サイトやモニターでラインを確認するのが無難
という3つがポイントです。
ラインは、レースで誰が勝つのかを予想する上では必要不可欠な重要ポイントです。
将来的には自分で予想できたほうがいいですが、競輪初心者にとっては少し難しいかもしれません。
そんなときは、競輪場のモニターや競輪投票サイトのライン予想を利用しましょう。
「誰と誰がラインを組むのか」「ライン内の選手がどの順番で並ぶのか」「終盤の展開がどうなるのか」を分かるようになると、競輪の面白みも勝率もグッと上がりますよ!
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